日経エレクトロニクスの特集「まだAndroidでいきますか」が非常に面白くて一気に読んでしまった。
Google社の「Android」を採用した機器の市場が急拡大している。ところが、機器開発の現場からはAndroidの変質を叫ぶ声が聞こえてくる。本当にこのままでいいのか。いま一度、Android戦略を見直す時が来ている。
この記事の中でいくつか気になった記事があったのだが、その中でも特に気になったのが以下の調査。
この中で他のオープンソースプロジェクトと比較して、Androidの透明性が著しく低いことが指摘されている。図表だと以下の通り。
計算方法は上記を参考いただくとして、まずそもそも最新のソースコード(3.X系列)が限定的なGoogleのパートナー(Tier 1と呼ばれる限定5社)にしか提供されていない状態のものをオープンソースプロジェクトと読んでいいのか?という疑問がある。上記エントリーでもそもそも以下のように述べられており、そもそもAndroidをオープンソースプロジェクトと呼んで良いのか、謎な状態が続いている。
Android ranks as the most closed project, with an Open Governance Index of 23%, yet at the same time is one of the most successful projects in the history of open source. Is Android proof that open governance is not needed to warrant success in an open source project?
この状況でAndroidに関わる企業が取れる選択肢は以下の2つしかない。
- Googleの方針に全て従い、最新のソースコードにアクセスできるTier 1に加わる
- ソースコードが公開されているAndroid 2.X系列をベースに魔改造を行う
富士通などはTier 1に入ろうと頑張っている。実際、4.X系列がリリースされた時に半年遅れでそのソースコードにアクセスできる状況だったら、その企業の商品が市場で勝負することはできない。
ただ、みんながGoogleに迎合するなか、Android 2.X系列に魔改造を行い、Kindle Fireを創り上げたAmazon先生はやはりすごい。しかし、Amazonが2.X系列の魔改造戦略を採用したということはAndroidが市場で2.X系列と4.X系列で大幅にブランチし、結局開発者は地獄のような互換性問題に付き合う可能性も出てきたのではないか?ここまで混沌としてきたら、逆に見る側としてはおもしろい。
日経エレクトロニクスのインタビューではインタビューされた識者の人々がみんな「Googleとの付き合い方」としてとことんGoogleに従えという戦略を上げているが、たぶんこの人達Kindel Fireのような話がありえるなんて想像もしていなかったんだろうなーと考えると、識者コメントなんてあてにならないものですね。
この問題は非常におもしろいので、今後もチェックしていきたいと思いますが、以下のエントリーでも書いた通りGoogleがGAEの時のようにどのくらいビジネスに寄るか、というのがポイントのような気がしています。