以前書いたエントリーについて、そういえば最近はどうなんでしょう?と聞かれて、改めて2011年のコンテンツの熱量について考えてみた。
このような現象を眺めてみると、このコンテンツを売るのが難しい時代にそれでもなおCDというオールドメディアを売ることができるのは、システマティックにユーザ内の熱量を高めていき濃いファンを作り、そこから波及する形でコミュニケーションとしてファンを拡大していくような方法論がみえてくる。Perfumeやモンスターハンターのような今年爆発したコンテンツを見てもにたような構図がみえてくる。
とりあえずAKB48、Perfume、ももいろクローバーZの話し
さて、2011年にヒットしたものって何だろうと考えてみたがAKB48、嵐は相変わらず売れてるのは間違いない。特にAKB48は4作連続“初週ミリオン”を達成しており、「売れる」という視点で見たら、今年も間違いなく最も売れたコンテンツの一つだと思う。
ただ、その一方であれほど人気だったPerfumeがいったんメジャーになると人気に陰りが出て、すぐに次のサブカルアイドルとして「ももいろクローバーZ」が人気になったのは驚いた。Perfumeが良い意味でCMなどのメジャー感のある方向に舵を切ったということも言えると思うし、CM出演料などを考えたら、恐らくPerfumeの周りで動いているお金は間違いなく2011年は増えているのだが、このメジャー感というのが非常に曲者で、メジャー感が出始めると間違いなくファンからの熱量自体は下がり始まる。これはもうどうしようもない宿命だと思うけど、AKB48の場合、このメジャー感のコントロールが絶妙で、AKB48という名前自体は知っているが、ではメンバーの名前を知っているか?ということになったら、たぶん多くの人は2、3人言うのが限界だと思う。つまり、AKB48というブランドへのメジャー感とは別にメジャーからサブカルまで多種多様なアイドルを抱えているところが面白い。最近だとAKB48の名前をつかて、月額課金のサービスに契約させるというのがAKB48のソーシャルゲームなどで盛んだが、以下のプロバイダなどは、本当にこれに契約する人がいるのか?という疑問も含めて何かわからないがとにかくすごい。
まぁ、とりあえずAKB48のことはおいておこう。さんざん語られているので。たぶん、現象としてはPerfumeからももいろクローバーZへのシフトの話しの方がおもしろくて、これは要するになんなのだろうということを考えると、個人的にはネタの密度なのだろうと思う。というのもももいろクローバーZは明らかに今年飛ばしており、特にライブの回数とその盛り上がりは異常だった。このあたりはantipop先生のエントリーが異常に詳しい。
傾向として、すでにテレビやCMのプロモーションで熱量をキープできる時代ではないということなのだと思う。ライブを代表とした濃密な接点とそこから派生するTwitteやニコニコ動画と親和性の高いコンテンツ、さらにそれに付随するソーシャルなツールやプロモーション全てひっくるめてどれだけ密度を上げることができるか?ということをどこまで突き詰めるか?という点が2011年のコンテンツを眺めているとポイントなのかな、と感じた。このあたりはどうもプレミアつきはじめているみたいだが、以下の雑誌が非常に面白かったのでおすすめ。たぶん古本の雑誌コーナーなどに行けば普通に買えると思う。
スイッチパブリッシング
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ゲームの話しもしてみる
ゲームに関しては僕はオープンワールド系のTPSが好きなのだが、FPSも含めて今年はかなり良作が多かった。個人的な好みで言えば、インファマス2は良い出来だったし、年末はバットマンアーカムシティを遊ぶつもりなので、非常に楽しみだ。
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良質なコンテンツの普及するフロー
2011年のコンテンツの話で一番おもしろいなーと思っているのは、以下のようなフローで普及するコンテンツが多かったということ。
- エロゲーが原作、もしくはエロゲー出身の原作者がメインのオリジナル作品、もしくはライトノベルで爆発的にヒットしている
- 良質なアニメ化が行われる。売上のメインはBD
- アニメが終わった後はもちろん映画化
- 派生でフィギュアなどの裾野も開拓される。フィギュアの質も良いものが多い。
- 原作者を巻き込んで良質なゲーム化が行われる
Fate/Zeroなどはまさにこのフローのまっただ中だし、俺の妹がこんなに可愛いわけがない、とある魔術の禁書目録やライトノベルではなくコミックだがけいおんなどもこの流れにのっている。裏を返せばたぶんこのフローが最もうまくマネタイズできるコンテンツの展開のフローなのだと思うが、特に最近顕著なのが、映画化、フィギュア、さらにはゲーム化も含めて非常に丁寧にコンテンツが作られていること。特にゲームなど昔は勢いに乗っただけのひどいゲーム化も多かったが、最近は原作者も巻き込んだ良質なゲーム化が多い。例えば「俺の妹がこんなに可愛いわけがない ポータブル」は良質なゲーム化で話題になった。
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まとめ
何かいろいろとりとめのない話になってしまったが、2011年に気になったコンテンツの熱量の話をまとめてみた。最近、非常にクオリティの高いコンテンツが多くなってきている反面、そのしわ寄せでいろいろ作成の現場も疲弊しているところもあるのではないかと思うけど、ユーザーとしては非常に面白いものが多い一年だったし、来年もいろんなものを精一杯楽しみたいと思う。