FutureInsight.info

AI、ビッグデータ、ライフサイエンス、テクノロジービッグプレイヤーの動向、これからの働き方などの「未来」に注目して考察するブログです。

米国/ベイエリアで働くエンジニアのライフスタイル

以下のエントリーでスタートした「みんなでライフスタイル」プロジェクトですが、アンケートにも多くの人から回答いただきました。

アンケートをこれから順次公開していきたいと思いますが、まずはお礼を申し上げます。あと、これらの情報を集約するためのサイトも別個作りました。これから公開していくアンケートは順次、こちらのサイトでも公開していくようにしたいと思います。

まず、最初はたびたび僕のブログでも名前がでる@umitanukiです。それぞれの回答をみながら考えていきたいと思います。

簡単な自己紹介と海外に移住した理由

@umitanukiです。29歳です。23歳でソフトウェアエンジニアになってから数年間日本で働いた後、ベイエリアの米国企業に誘われて2011年秋よりこちらに引っ越しました。きっかけは以前からオープンソースのPostgreSQLの開発に参加しいくつか機能を実装するうちにその成果が目に留まったようで、LinkedIn経由で転職活動をしました。移住した理由ですが、簡単に言えばソフトウェア開発の本場で働きたいというのが理由です。もともとソフトウェアにかじりつく前から親や企業や国に依存しなくても生きて行けるようになりたいと思っていたので、そういう人間になるためのパスとして希望していたというところが強いです。

@umitanukiは後輩の中でも、とびきり優秀で、このアンケートを開始したときもまっさきに声をかけました。LinkedIn経由での転職の話はいかのエントリーでもどうぞ。

オープンソースのPostgreSQLの開発に参加し、その成果で転職したというのが、キャリアとしておもしろいな、と思います。

海外に移住してみて気づいた、日本で制度的、文化的な理由によりライフスタイルが縛られていること

何と言っても時間的な拘束は格段に下がりました。これはやはり文化的な側面が強いと思いますが、日本では顧客があれこれ言うことに細かく付き合うことに価値があるのですが、こちらではそれはあまり価値を生んでいないような気がします。この傾向は特に日本のIT産業で顕著でそれはIT産業がコンピュータサイエンスをベースにしているのではなくて建築業をベースにしているからだと思いますが、単に産業が未熟なのかもしれません。一般的な大企業製造業では日本でもそれほど時間的拘束がないような気がします。
ただ、これはIT産業に関わらず言えることですが、アメリカは食料品から家の立て付けまで、あらゆることが大事な80%に集中するのに対して、日本では残りの20%を非常に重視するというのは確かだと思います。そういうことの積み重ねが上記のような差を生んでいる気がします。

この大事な80%にフォーカスする米国と、最後の20%まできちんと重視する日本という構図はいろいろなエンジニアリングの話で最近たびたび聞きます。というのも、米国はまずフレームワークを作りきる力が強いんですよね。しかも、それが大きくなればなるほど、どこに力を割けばいいものができるかというのをきちんと考えてから、そこに優先的に力を割く。すると最小の労力で、強力なフレームワークができて、それをみんなにつかわせるんです。このサイクルだと、難しいことは本当に優秀な人に任せて、他の人は純粋な作業に集中できますからね。
ちょうど、この話は最近Twitterに入社したLimechatの作者の方のブログでも言及していますね。

これは日本の文化的にライフスタイルを縛っている大きな要素なのかもしれません。

日本では達成できなかった、海外に行って良かったと思われる点、海外生活の楽しい点

これは難しい質問ですね。仕事の面ではもともと楽しみにしていた「多様な人と働く」という点で日本では全く達成できなかったことが達成できてハッピーです。もともと私の目的は「国に縛られない生き方ができる人間になる」ということだったのでその点においては向かうべき道のりにいるように思えることがとても良かったと思っています。
プライベートでは家族と過ごす時間が増えました。拘束時間が減ったということ以外に、こちらでは何事も家族単位で付き合いがあったりすることもファクターだと思います。

逆に日本の方が良かったという点、海外だと達成できないだろうなと思われる点

正直に言えば今のところあまりないのですが。。。まあいつも言っているのですが日本は特殊な国で特殊なマーケットなのでそこで活動できるということ自体がとてもプレミアムなことだと思うのですが、それはこちらに来るにあたって失った機会だと言えるでしょう。

ないのかー、それはすごくいいことだなぁ。

日本と海外でライフスタイルの多様性を実現する上で大きな違いとなっているもの、日本では導入されればいい、と思っていること

働き方という面ではうちのオフィスにはいろいろな人がいます。ある人は最近までフランスの自宅から働いていたし、最近実家の事情でインドに帰ったけどインドから働いている人もいるし、それまではフルタイムだったけど子供が生まれたからしばらくはパートタイムで働いている人もいます。あとは夕方から来て夜中に帰る人もいます。ただしそのどのケースも、実力のある人たちで過去にある程度実績を残しているので、一時的にと考えているケースもあれば、まあキャリアアップは望めないけど現状維持で働いてもらう分には申し分ないよね、というふうに思われているようです。

「週4時間だけ働く」でも記載されてましたが、アメリカて自分のアサインされている仕事さえきっちりこなせば、本当に文句いわれないようです。この合理的な考え方は是非日本でも導入されてほしいですね。

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海外であっても個人の力で達成すべきこと、日本よりも重要視されること

ここではほぼ個人の力がものを言うと思います。Googleの例を出すまでもなく社員食堂が一流だったり天気が良かったり時間的拘束が少なくていつ来ていつ帰ってもいいような感じなので楽だと思うかもしれませんが、本当に真面目にやっている人は一度帰った後も仕事をしているし、結果で評価されるので駄目だと思われればあっという間に仕事がこなくなるので緊張感を自分でキープしないと生きて行けないという気がします。つまりここで働いている人たちは少なくとも自律できるという点において、日本とは違うなという感じがしています。日本は企業が手厚くいろいろやってくれるしもっと言えば未だにタイムカードを押している会社もあると思いますがそういう風に「管理」してくれるので自律しなくても何とかなっている人も多いのではと思います。アメリカでは収入がある人は全員税金処理を自分の責任でやらないと行けないのもその証拠の一つだと思います。

アメリカで働くっていうのは、ここがポイントなのかなーっと思います。@umitanukiのように実力がある人が自律できる覚悟をもって働く職場っていうのが、日本では少ないっていうのがあるのかなーっと。ノマドといっても、社内で自由にしている社内ノマドの話題をすることが最近多いのですが、結局それって圧倒的な成果や実力の上で勝ち取っている自由なので、まずは実力がある人が自律できることが第一なのですよね。マッチョだと思われるかもしれませんが、この部分の先により多様なライフスタイルがあるのではないかと思います。

まとめ

米国/ベイエリアのエンジニア @umitanukiのアンケートでした。ご意見、ご感想などもしあれば、Twitterやっているので、@gamellaに送っていただければ。あと、よろしければ海外在住の方は以下のアンケートにお応えください。