ほぼ雑誌中毒の僕ですが、クーリエ・ジャポンの2013年2月号を読んでいて、仕事が消えた後に残る未来の「ブラック企業」という記事がありました。
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- 研修期間中は1分でも遅刻したら即解雇
- 倉庫の中では常にジョギング状態でハンディスキャナーから出せれる指示に従って行動する。一日の移動距離は20Km
- すべての指示には所要時間が決まっており、その所要時間に応じてスコアがきまる
- スコアに応じてカウンセリングを受け、なぜノルマをこなせないのかを説教される
- 業務が効率化されすぎて、本当にだれでもできるように設計されているので犯罪歴さえなければいくらでも人を雇うことができる。
このような状態を似たような倉庫を運営するアマゾンも問題視していて、それを改善するためのロボット関連企業を買収し、倉庫業務用ロボットが導入されようとしています。以下は、買収したベンチャーのものです。
上の企業をブラックと書きましたが、最近日本でも「ブラック企業」という言葉をよく聞きます。ただ、日本でいうところのブラック企業はどちらかというと、以下のような状態の企業を指していることが多いように感じます。
- 長いサービス残業時間とそれが報われない低賃金
- 経営陣の曖昧な意思決定とそれに振り回される現場
- 全く自由時間がないのにそれでも社員がヤル気を出すことが期待される勤務体系
上の問題は経営の失敗なので、本当はそのような企業はなかなか優秀な人材が集められず長期的には市場から退場いただくというのが資本主義の基本思想です。問題は上記のようなことを強要する企業は、飲食店のような労働集約的な業態だと非常に競争力があるので、なかなか市場淘汰がすすみません。ただ、まぁ、ワタミなどで起きている残業代未払い裁判などを見てもサービス残業で利益を出す企業はなんらかの問題が発生するはずです。
ただ、クーリエ・ジャポンの記事の方で問題となっている企業は、透明な契約と効率化された労働、KPI志向の経営なので、むしろ通常の資本主義の枠組みでは市場に残るべき企業です。ただ、直感的にこの労働は人間にはやばいということがわかります。さて、これはかなり難しい問題です。上の倉庫業務を支えているのは効率化されたITシステムですが、これ自体も問題とすべき項目ではありません。また、叩き過ぎるとロボットを導入して、雇用自体がなくなっていきます。上の倉庫業務はなんと3ヶ月間でのべ4000人の雇用を生み出しているそうです。上記の「未来のブラック企業」で問題とすべき点は何なのか、その枠組みはどの領域で作るべきなのか、という課題に対する答えは記事にはなかったのですが、この課題に対する回答を設計することが近いうちに大きなトピックになってきそうな気がします。