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クリス・ アンダーソン「フリー」の話を今だから振り返ってみる

なんか、今日のKindleの日替わりセールがクリス・ アンダーソン「フリー」だったので、フリー戦略に関して今更振り返る形でコメントしてみる。

この本自体では様々な「フリー」的な戦略を紹介していたが、そのなかで結局重要なものは2つだったのだと思う。
一つは皆様御存知のエンターテイメントとしてのフリー。スマートフォン・タブレットという圧倒的に普及するデバイスを利用して、その中で入口をフリー、後半を課金にするビジネスモデル。これははっきりいって当たっていたし、今後もコンテンツがリッチになりながらも一つのスタイルとして続いていくと思う。
もう一つは、スキームとしてのフリー。例えば、2年契約+高額オプションの契約で携帯電話の本体をフリーで配る戦略。現状、圧倒的な普及を実現するためにはこのスキームとしてのフリー戦略が大変重要で、ドコモの2トップ戦略も、要は端末をフリーにできる仕入れ値を実現するためには絞った機種に生産を集中させ、スケールメリットを使う必要があり、あえて2種類に受注を絞るためにあの戦略を採用したと考えるのが重要だ。iPhoneのスケールメリットは半端じゃないので。実際、フリーじゃないと端末なんて殆ど売れないと考えたほうが良い。もう一個、面白いとおもっているのが、このスキームとしてのフリーの中に組み込まれたオプション契約。具体的にはdビデオ+BeeTVの購入時契約。エイベックスが過去最高売上&過去最高利益を達成したが、それを支えたのがdビデオ+BeeTVの携帯端末購入時のオプション契約戦略だった。

なんとBeeTVが頑張ってるらしい。dビデオも良く見ると「dビデオpowerd by BeeTV」ってなってた。すげぇ。なんか僕の中でBeeTVは「懐かしい響き」となっていたのですが、現役バリバリだったのですね。月額525円(税込)っぽいので月商約28億。年商だと約340億か。これは凄い。

スキームとしては簡単で、このオプションを契約しないと端末が安くならないとしたら、多くの人は後々解約すればいいやと思って、オプションを契約する。ただ、やっぱりオプション契約を続ける人(解約忘れた人含む)が多いわけで、このフリー戦略に付随したオプション契約戦略は大変効果的だった。まぁ、若干えげつない話ではあるが、dビデオ+BeeTVとか、auスマートパスとかキャリアのサービスで成功しているものは大概この手のものなので、やはり戦略としては優秀だと言わざるを得ない。
そんな訳で、概ね、エンターテイメントとしてのフリー戦略とスキームとしてのフリー戦略が残ったものと考えると、なかなか「フリー」で描かれた話も最終的な落とし所としては夢物語でもなんでもなく、結構ガチでビジネスの話だったのね、と思う。