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ジロリアンを政治的に定義してみたりとか惜しい感じの本「フード左翼とフード右翼 食で分断される日本人」書評

たまたまKindleストアで見かけて購入。1時間ほどで読み終わりました。

今、日本人は食を巡って大きく二つに分かれている。食の安全のためにお金を使うことを厭わない人々と、安全よりも安さと量を重視する人々。食べ物を通して歴史や社会を読み解きながら、日本人の新たな政治意識を導き出す。

結論からいうと、視点はおもしろいと思いますが、切れ味はないなー、という印象。というのも、おそらく速水健朗さんがどの流派にも属してないから、だと思います。ジロリアンの政治的な定義とか結構ネタとしてはおもしろいことにチャレンジしているのに、一発ネタ以上の感じはありませんでした。

こういうネタを書かせると天下一品なのが、高城剛です。というのもですね、フードネタというのは、どのくらいスピリチュアルとロジックを上手にミックスさせることができるか、というのが面白さの大きな要素なのです。フードというのは人間を形作るものなのですから、そこに科学以外の意味を見出すというのは至極当然です。それは、つまり、自分の「生きる」ということにどのくらい「食べる」という行為を関連させて定義づけるか、の話なので。

さらに言うと、この「味覚」というのは、最高レベルのレストランに行ったことがあるひとなら頷いてくれると思いますが、もうそれ自体脳の錯覚や一種の厳格を利用する芸術的な行為にまで最終的にはなるわけです。この時に、速水健朗さんの安易に科学とスピリチュアルを分断する態度というのは、意味をもたないのですよね。だって、味覚というのは自分の脳が感じることが全てのわけで、そこは脳の認識の領域である以上、スピリチュアルも含めて自分の脳の認識として昇華されるべき項目なわけです。しかし、そのあたりの項目を考慮しないまま、議論をすすめており、まぁ、この態度ではちょっと食に関することを掘り下げるには甘いのではないか、と思います。

というわけで、普段は面白くなかったら紹介しないというのがいつもの僕の傾向なのですが、ネタ自体は非常に面白く、多分このネタを高城剛とかに書かせたらめちゃくちゃおもしろくなるだろうな、という予感がありました。そんなわけで、軽く紹介してみました。