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WhatsAppの買収から考える今後のスマートフォンビジネスの動き

ほとんどの人は感じていることだろうけど、いったんガチでまとめておきます。

  • GoogleがWeb時代に強力な支配力を発揮できた要因の一つにGmailなどの魅力的なサービスで必ずユーザーアカウントをログインさせる習慣を作ることができた、というのがあるけど、スマートフォンにおいてはそれがメッセージングだった。アカウントをログインさせる必要があるのは、もちろん大きな意味での広告のため。

  • クッキーが存在するWebと違ってアカウントヒモ付が難しいスマートフォンでは、アカウントのヒモ付をどのようにおこなうか、またサービスの入り口をどのように設計するかというのが、大きなカギだったが、それもメッセージングアプリだった。このあたりももちろん最終的には広告のためだが、より広い意味でユーザーの行動に対してアクションできるという部分が大きい。

  • そんなわけで、本当にざっくりいうとメッセージングを制するものが将来的にスマートフォンを制するみたいな流れがだんだん見えてきており、ユーザー数ではWhatsApp(欧米)、WeChat(中国)、続いてLINE(日本、東南アジア)みたいな状況になっていたが、WhatsApp単体では収益化できなくても、WhatsAppがあれば、今後の展開を有利に運ぶことができるのは明白だったので、FacebookとGoogleが買収を検討しており、Facebookが勝ち取った。思えば、Facebookが登場した時に、Googleは自分たちが出遅れたことを自覚したが、FacebookもWhatsAppに単純に出遅れた。WhatsAppが2009年に登場し、2年目ですでに莫大なユーザーを確保したとき、Facebookは2011年にBelugaを買収して、 Facebook Messengerをリリースしたが後の祭りだった。

  • そんわけで、メッセージングアプリはあと1年くらい本格的な競争を繰り広げた後、収益化の方向にすすむことになると思う。すでに日本での上場を意識して収益化に励んでいるLINEは欧米で競争ルールが変わったので、たぶん東南アジアとかインドあたりの基盤確保に走るのかなーと。日本文化をうまく活用できる、東南アジアを取ることができれば、これはかなり大きいと思うので、まだまだ勝負は続行中。すでに日本でもLINEを絡めることでいろいろなビジネスが回り始めているが、欧米も近いうちにはそうなるかと。そうなってくると、LINEの手法というのは先行事例として価値がでてくるかも。

  • なお、スマートフォンのOS自体を抑えているGoogleとAppleがルールメイカーであることに変わりはない。たとえば、Appleは「標準アプリと機能が競合するアプリ」をルール上はAppStoreから取り下げできるので、iMessageと競合するWhatsAppを取り下げすることは可能。ただし、日本以外ではそこまで独占的な地位をiPhoneは確保していないので、おそらくそのような強権の発動は欧米とくにヨーロッパではかなりネガティブに作用するとかんがえられるので、あくまで潜在的リスクとしてルールメイカーのルールチェンジが存在するのみ。それもFacebookという巨人がWhatsAppを買収したことで、かなり可能性としては低くなったと見て良い。

  • 状況としては、スマートフォンという絶対的な基盤のOSを抑えているGoogleとAppleがルールメーカーだったが、それを土管化するWhatsAppをFacebookを買収したことで、一気に戦況が変わってきたという状況。Facebookとしては、GoogleとAppleの適正な競争環境を維持することがこれでものすごく大事になった。片方が圧勝すると、一気にルールチェンジされる必要があるので。

というのをざっくり感じました。なお、もう一人の巨人であるAmazonが全く絡んできてませんが、以下の本読んでいろいろ考えたことあるので、それは今後まとめたいと思います。この本、めちゃくちゃおもしろいのでオススメです。

[追記]

DSさんから以下の記事を寄稿いただきました!あわせて御覧ください。