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WIRED Vol.11でわかるGoogleがNestを買収した狙い

WIRED Vol.11が発売中。早速、購入したのですが、今回はベンチャーなどをやっている知人が多く出演しており、また、それを差し引いてもかなり良かった。なお、WIREDはKindle版もあるみたいです。

このなかで、一番良かったのはGoogleの買収したNestの記事。NestというのはiPod、iPhoneのチームリーダーであるトニー・ファデルが作ったプロダクト開発ベンチャーで、代表作として極めてインテリジェントな煙検知器がある。

Nestの特徴として、愛されるプロダクトになること、目的以上の買い物になること、衝動買いとならないことを重要視してプロダクトを開発しており、いままでけたたましい音をだす邪魔者として扱われてきた煙探知機をどのように愛されるプロダクトにしたか、というNestのプロダクト開発の内側の話がおもしろい。たとえば、Nestの煙検知器ネスト・プロテクトは警報ではなく、声で異変を教えてくれるのだが、そのときにしゃべる声が「幼児を持つ37歳の女性」である。この声が選ばれる過程や現在のデザインとなるプロセスなど、興味ある人も多いと思う。

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また、この記事では、Googleの狙いがNestの開発プロダクトそのものではなく、トニー・ファデルという稀代のプロダクトマスター自身を手に入れることであったこともはっきりしてくる。家の全ての家電がiPodのように愛される商品になった時、その商品がインターネットとつながった時に、そのバックエンドにGoogleが存在した時、何か起きるかを考えてみれば、Googleの買い物の意味もわかってくる。また、この中で「愛される商品を作る」というラストワンマイルことが一番の困難であることも自明だ。そこを埋めるのがトニー・ファデルとなるわけだ。

トニー・ファデルのリーダーシップに関しては、古い本ではあるがWIREDのスティーヴィン・レヴィがまとめた「iPodは何を変えたのか?」などがおもしろい。この本は、Amazonの中古でも1円でたくさんありそうなので、興味あるかたはどうぞ。