「ハゲタカ」とか金融系の小説が結構すきなのですが、橘玲の新作で金融系小説が出ていたので、さくっと26%OFFだったKindleで購入し、読了しました。
東南アジア最大のタックスヘイヴン、シンガポールのスイス系プライベートバンクから1000億円が消えた。日本人ファンドマネージャーは転落死、バンカーは失踪! マネーロンダリング、ODAマネー、原発輸出計画、北朝鮮の核開発、仕手株集団、暗躍する政治家とヤクザ……。名門銀行が絶対に知られてはならない秘密とは? そして、すべてを操る男は誰だ?
話は相変わらずの橘玲節で、金融系小説書かせたら、真山仁と橘玲は、安心して読めるなーと思います。しかも、今回は舞台がシンガポールということで、この前旅行で行っていたこともあり、非常に身近に感じることができました。
シンガポールが金融業の街として発展するために、どういう政策を採用しているか、またそれが現地の人にどのような影響を与えているか、などなど、これシンガポール旅行読む前に読んでおくとシンガポール旅行がさらに楽しめますわ。
以前、高城剛にシンガポール旅行の楽しみ方をメルマガで質問したときに、まずは歴史を勉強すべき、という回答をもらったのですが、そういう意味ではこの本もなかなかシンガポールの中身を説明する良い本になっています。
そこで、シンガポールに訪ねる前に、是非リー・クアン・ユーの本をお読みになるといいでしょう。今日、多くの方がイメージしていらっしゃっるシンガポールは、リー・クアン・ユーによって作られたものです。シンガポールが面白いのはリー・クアン・ユーが面白いからで、渡航前に回顧録をお読みになるか、入手しづらいのでしたら新刊「世界を語る」でも構いません。なにしろ、淡路島程度の国土しかない場所を、世界に冠たる都市国家に育てた人物ですので、面白くないわけがありません。客家、ヒンドゥー、マレーなど多国籍な人々を取りまとめ、そしてその混ざったなかから生まれるパワーがシンガポールの魅力だとわかると思います。街は表面的には綺麗でも、まだまだご家族や日本人一人では踏み込めない場所も多くあります。実はドロドロとした混沌こそが、シンガポールの本当の魅力だと思いますね。
題材としては、表題のとおりタックスヘイブンであるシンガポールをメインに扱っており、そのなかでも今回は海外送金の話がメインです。ドロドロした話ではなく、さらっと読み終わるタイプの小説で、GWにサクッと読むには結構オススメの本かと思います。