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Kindle Voyageの発表と電子書籍リーダーデバイスの憂鬱

Kindle Voyageが発表されましたね。

すでにAmazonでも予約受け付け中です。

スペックを見てみると、デザインの変更を抜きにすればPaperWhiteと比較してみると変更点は以下のとおり。

  • 本体重量が180グラムに軽量化(35gの軽量化)
  • 解像度が300ppiに変更(212ppiからの大幅グレードアップ)
  • サイズが162 x 117 x 7.6mmに変更(縦横のサイズは変わらないが1.5mmの薄型化)

という内容。たしかに解像度の変更はすごいですが、逆に言うと上の変更だけなのです。そして、値段は同一モデル(Wifi)で、10,280円から21,480円に変更ですから、倍近い値段になっています。これは結構面白い方向性だと思いました。

簡単に言うと、Kindle Voyageは電子書籍リーダーの今後の方向性と考えて良いと思います。つまり限りなく紙に近い解像度のデバイスがほしい人が買うデバイスです。解像度のためだけにお金を払える人が対象で、逆に言うとそこに価値を見いだせない人は買う必要もないデバイスです。

個人的にはこの戦略はすごくわかりやすいと思います。というのも、AmazonはKindle Voyageの発売に併せて、廉価版Kindleも発表しており、こちらは6,980円。PaperWhiteよりもさらに低いスペックのデバイスで、内蔵ライトなしというかなり割り切った仕様ですが電子書籍リーダーとしてはこれで十分とかんがえる人もいるでしょう。

5.5インチ版iPhoneであるiPhone 6 Plusの発表で、電子書籍リーダーの売上が下がるのは確定ですから、もう残るはすごく安く電子書籍リーダーがほしい人か紙に負けない解像度の電子書籍リーダーがほしい人のニーズを確保するくらいしかニーズが無いわけです。スマートフォンが5.5インチだったら、普通はそちらでKindle見るでしょうから。今回のAmazonの一手はそのニーズを全て確保しにいったわけで、まさに王道の一手だと思います。というのも、ともとAmazonの戦略として、AmazonはKindleのデバイス自体で利益を出す必要があるわけではなく、マーケットの電子書籍リーダーの需要をもれなく満たすことで、可能な限りシェアを高めることができればいいのです。利益はコンテンツで稼げばいいわけですから。

そんなわけで、今回のAmazonの一手は電子書籍リーダーの憂鬱を表すとともに、手堅い一手だな、と思いました。