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iPhone 6 Plusというスマートフォンの行き詰まり

いつもリリースごとにさまざまな話題を振りまいてくれるiPhone様。今回特に面白いと思ったネタは以下の2つ。

この記事の「クパチーノの重力に魂を縛られた愚かな人たち」と「iPhoneはもうとっくにネタ切れしてるんだよ!」という言葉と以下のTwitterのつぶやきにひと通り笑いました。

僕もiPhone 6 Plusを触らせてもうらう機会があったのですが、たしかにこれはでかい。これはiPhoneじゃなくてiPad nanoですわ、というコメントも見たけど、まさにそんな感じ。いままでのiPhoneは無意識に触ったら、だいたい片手で持っていたけど、iPhone 6 Plusは何も考えずに触ったら、普通に両手でホールドしていました。本能的に「これは落とす」と思った模様。まぁ、しかし触ってみてでかいのが明らかに便利そうな局面も容易に想像できました。特にKindleで漫画よむときは便利そうなサイズだな、と普通に思いました。

さて、せっかくですから上のエントリーでも話題になっていたスマートフォンの行き詰まりについて考えてみます。

まぁ、この件に関しては商品のライフサイクルとして順調に後半の「陳腐化」の局面になっているということです。PCでもおなじことがおきましたし、普通に考えたらスマートフォンでも同じことが起きるでしょう。中国スマートフォンメーカーのXiomiの台頭はそのまんまレノボの登場と同じだし、スマートフォンというデバイスにこだわったら、やばいことになるのは火を見るより明らかです。

ただ、PCもなんやかんやいっても、Macはそこそこのシェアと利益率をキープできていますよね。同じようにiPhoneもこのまま高級機としてそこそこのシェアと利益率をキープできると思います。いや、アプリ開発のエコサイクルはMacOSXよりもiOSの方が強固ですから、その上澄み分を考えると、Macよりももっと高いシェアがランディングポイントになると思います。そしてPCなんかより、もっと広い人がスマートフォンを使っている以上、そこまでiPhoneはひどいことにはならない、むしろOSもエコサイクルも確保できていないAndroidメーカーの方が難しい局面でしょうね。Androidの王者Galaxyもかなり難しい局面だと思います。

となると、普通に考えたらiPhoneの今後の戦略として重要なのは、プロダクトのライフサイクルの最終局面において確保できるシェアをどこまで高くキープできるか、というポイントでしょう。下のグラフでいうところのいまは「成熟期」なので、その後の「衰退期」におけるシェアということですね。

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個人的には以下の点が重要になってくると思います。

  • 決算、ヘルスなどより付加価値の高いサービスを囲い込む
  • アップルのエコシステムにアプリを提供してくれる開発者の規模を最大にして、アプリのエコシステムを常に他のプラットフォームより優位にする
  • デバイス・半導体技術に対する投資を開始して、常に1年早く省電力・高効率のSoCを搭載できるようにする
  • 新しいデザインをつねに先駆けて提案し、他のプラットフォームを「ださい」と思うムードを保つ

はい、こうやって並べてお分かりですが、すでにすべてAppleは実行してますね。まぁ、当たり前です。

つまり、iPhoneはスマートフォンというプロダクトのライフサイクルの最終局面に向けて、シェア確保の最終調整に入っているわけです。その局面だからこそ、サイズを2つ用意してユーザーのニーズをまんべんなく満たす戦略になってくるわけです。

また、この局面ここでは、これまで貯めたお金で自分のプラットフォームにどれくらい他のプラットフォームにない要素を追加できるかが、モノを言います。Googleももちろんお金を持っていますが、Googleの場合Androidそのものが企業価値を引き出しているわけではなく、AppleへのカウンターとしてのAndroidという側面が非常に強いので、結構後手に回る可能性もあると思っています。

というわけで僕の認識では、高付加価値市場ではこれまで貯めたお金を投資に回せるiPhoneが未だに有利です。ただし、低価格市場を取りに行く戦略はもうとれないので、あとはどのボリュームのマーケットでどれくらい市場を確保できるかというのがiPhoneの肝になってきており、これは「ネタ切れ」というより、早く今まで貯めたお金を差別要因に対する投資に回すのが重要なのだけど、いまいちアクセルを踏み切る場所が決まってない、そしてこれが「ネタ切れ」「行き詰まり」に見えるというあたりが正しい認識なのではないかと思います。