Googleが社会インフラ整備事業に乗り出そうとしているというのが話題になっていた。
詳しくは上を読んで欲しいのだが、今Google XというSergey Brinの指揮の下、自動運転車やGoogle Glassなどの長期的視点で将来のGoogleを支える技術の研究が行なわれているが、これに対して今回説明されたGoogle Yは長期レンジの研究でも、社会インフラの大規模プロジェクトを対象としているというのが特徴。
具体的には様々な運行情報をトラックして、より高効率な仕組みを導入したり、混雑緩和などの交通インフラ系がまずは候補になるのではないか、と予想し、具体的な事例としてUrban Enginesという会社にGoogle Venturesが先行して投資したことが紹介されている。
まぁ、この方向性にかじを切ることは予想できたと思っていて、これまでのGoogleの強みはテクノロジーでスケールすることにしか手を出さないということだった。このテクノロジーでスケールするというのは非常に重要な概念で、テクノロジーでスケールすること・しないこと、しかもそれが今スケールするかではなく、5年後にスケールするかというのが非常に重要な投資判断のポイントになっていたと思う。
「テクノロジーでスケールするか」というのは、データセンターで分散処理できるか、ということだけではない。テクノロジー以外にボトルネックがないことというのが非常に重要で、例えば政府との地道な交渉を必要とする事業やステークホルダーが多岐にわたる事業はテクノロジーそのものよりもその調整コストの方が大きいので、結果的にテクノロジーでスケールしないことになる。
ただ、そろそろこの態度をGoogleは変える局面にきている。今回のスマートシティの進出はそのわかりやすい指標だと思う。それは、次の成長をどこにもっていくか、という部分だ。テクノロジーでスケールすることは巨大なデータセンターを保持して、それを拡大し、技術投資を正当化するにあたり非常に重要なポイントだった。そして、現状はそのデータセンター・技術投資のコストをペイできるだけの算段がたち、次のステージにすすもうというなかで、Googleが大企業としての成長エンジンを信用と資金をもった大企業にしかできない分野にフォーカスするというのは競争的にも自然な流れだ。
たとえば、Amazon Web ServicesがCIAとNSAのクラウド入札競争でIBMに勝ったというのが昔話題になっていたが、似たようなことが今後GoogleとIBMのソリューション入札で話題になる時期がくると思う。しかもこれまでのソリューションをまっさらな状態から定義しなおしたむちゃくちゃシンプルで強力なソリューションをGoogleが開発し、それを馬鹿みたいに安い値段で提供する姿がみえる。
はっきり言ってしまうと、テクノロジーソリューションの分野で、検索と広告という市場を独占しテクノロジーへの投資を正当化できるGoogleに他のテクノロジー企業が勝負を挑むのは非常に難しい局面にはいってくると思う。もちろん、より属人性が高い分野では今度もソリューションベンダーの地位は変わることはないが少しでも「テクノロジーでスケールする」分野は全て危ないと考えたほうがよい。
今はそんな局面になってきていると思う。