先日、以下のつぶやきをしましたが、もうちょっとこの辺りのトピックをAppleの製品戦略の観点から深堀りしてみます。
5kっていまさらながら、ディスプレイとpc部分一体型の強みだよなー。普通につくったら絶対とこかボトルネックになるけど一気通貫で管理できるなら、いけるもんな。
— Tomoya Kitayama (@gamella) 2014年10月19日
5K iMacの話
先週発表された新型iMac。あの仕様をみて、一番驚いたのは5Kディスプレイが採用されたことでした。そもそも4KもHDMIの仕様として、ようやく確定したところにいきなりの5K。これはかなり衝撃をうけました。
そもそも市場を見渡してもPC向けの4Kディスプレイは低価格帯ではまだまともなディスプレイがないのが現状です。というのも、現状の低価格帯4Kディスプレイはほぼ30Hz駆動なので、通常のディスプレイ用途で利用している60Hz駆動と比較すると、モニタ内で発生する動きに対する追従性がかなり落ちます。60Hzと120Hzはそこまで決定的な違いはわからないのですが、30Hzと60Hzは、あまりこだわりない人でも結構はっきりとわかる差異です。この違いは、結局目の疲れに直結していて、個人的にも長時間眺めるPCディスプレイ用途で30Hzはないな、と思っていました。
そんなところに発売された5Kディスプレイ。普通に考えたら5Kディスプレイなんて、そもそもアウトプット可能なPCがかなり限定されるので、利用することすらおぼつかないものです。というのも、5Kディスプレイに対応するにはメモリのバンド幅・GPU性能・OS内でのグラフィック処理のハンドリング、ディスプレイ側のデータ転送部分、ディスプレイ側の処理部分とそれぞれにボトルネックが存在し、それらが全部クリアしてはじめて一気通貫で成り立つ類の高難易度仕様です。そもそもどんな仕様なんだ、60Hz駆動するのか、という当たりがHacker Newsでも話題になっていました。
そもそもどのくらいの転送量必要なんだ、ThunderBolt2の帯域でカバーできるのか、それともその部分も独自設計なのか、5Kで60Hz駆動は本当にできるのか、というトピックが出ていますが、計算上はぎりぎりThunderBolt2の帯域で可能みたいで、たぶん60Hzなんじゃないの、というのが計算上の結論。あとは、実物見てたしかめよう、ということになってましたが、以下の記事を見る限り、5Kモードは30Hz、4Kモードは60Hzなのではないかということ。詳細なスペック書いているページがあったらこのあたりは確認したいところです。
というわけで、5Kは30Hzのような感じですが、ディスプレイ側の補完機能が強力なら30Hzでも使い物になるわけで、結局iMacという各パーツ・OSの仕様を全てFIXできるプラットフォームだからこそ、こんな難しいもやるんだなー、と感心しました。コンシューマでは現時点ではiMac以外ではなかなかできない素晴らしい仕事だと思います。
iPad Air 2の気合の入り方とスマートフォンの方向性
今回のAppleの発表でもう一つ気になったのが、iPad Air2の気合の入り方と、Mac mini/iPad mini 3の気合の入ってなさです。
iPad Air 2の気合の入り方はスペックをみても一目瞭然ですが、CPU/メモリ、ディスプレイ、デザイン、軽さと全てのスペックにおいて完全にプロユース。演算性能に至っては、すでに低価格PCと同程度の演算性能があり、まさになんでもできるデバイスになっています。
それに引き換えTouch IDを搭載しただけのiPad mini 3とあまりにもCPU・メモリが低スペックなMac mini。これはもう売る気がないと言っても過言ではありません。こうやって比較しみると、5K iMacとPad Air 2のスペックの違いは一目瞭然。でも、これって、今後のAppleのスマートフォンの方向性と関係があるのではないかと推測します。ざっくり改定見ると、以下の様なシフトをAppleは考えているのではないかと。
まぁ、間違いなくスマートフォンの領域は広くなります。そことの優位性を考えるなら、iPad Air 2/5K iMacのような方向性はプロ・ハイアマチュアユースとして価格を維持する上でも非常に重要でしょう。それとは、別にぼくはわざとiPad mini 3/Mac miniの魅力を落としたという側面もあると思っています。
それは、単純にいうとスマートフォン事業の方が儲かるからです。僕は2年まえに購入したiPad mini/Mac Book Air 11インチをまだ利用していますが、これらの機器はまだまだ現役でつかうことできそうです。一方、iPhoneはやはり2年たったり買い換えるでしょう。それは常に持ち歩き、また持ち歩くことで汚れたり壊れたりするスマートフォンにとっては、2年の買い替えサイクルというのが非常に自然なものだからです。
すでにPCとしての性能向上が止まっている昨今、ビジネスの規模を維持する上でももの2年の買い替えサイクルがあるデバイスというのは非常に重要だと考えます。この視点で考えると、iPhone 6 Plueのようなタブレット殺しのデバイスをリリースした理由もわかるのではないかと。
そんなわけで、今後のAppleの製品戦略の一端が垣間見れた商品群だなーと感じました。