サムソンの「GALAXY S5」販売不振のニュースを見ながら、変化するスマートフォン市場について考えました。
上の記事にも書かれているのですが、そこまで一気に減少したとかではないのです。
「GALAXY S4」の発売後3カ月間の販売台数が1600万台だったのに対し、GALAXY S5の同期間の総販売台数は1200万台だったと報じている。
とのことなので、ざっくり言うと前機種とくらべて25%減っている程度。でも、このトレンドがもうスマートフォン市場はこれまでのものとは全く違う局面に入ってしまってことを示しています。簡単に言うと、これまではトップクラスのメーカーしか作れなかったハイスペック端末がどのメーカーでも作れるだけのノウハウが蓄積されたので、もうこれまでの最新性能をタイムリーに提供すれば市場が取れるという状況から、性能以外の差別化が重要になったということです。
PCではこういう局面になった時に、結果として極めて安い値段で供給できる体制を構築したレノボなどが強かったわけですが、スマートフォン市場がPCと違うだろうなーと思うのはスマートフォンが常に持ち運ぶステータスとしての装飾品も兼ねていること。どんなに安くてもださい奴は買いたくないわけです。PCの場合、安い機種がほしいというのはレノボなど、かっこいい機種がほしいという需要はMacがもっていってしまいましたが、スマートフォン市場はどうなるか考えてみます。
ざっと、分けると以下の3つかなと思います。
- デザインを洗練させつつ、コモディティ化した最新パーツをうまく使って低価格でおしゃれな機種を供給する低価格おしゃれ戦略
- 他のブランドよりも明らかにかっこいい高価格だが、利益率の高い機種を提供するハイブランド戦略
- スマートフォンの次を定義する戦略
それでは、順に考えていきましょう。
「デザインを洗練させつつ、コモディティ化した最新パーツをうまく使って低価格でおしゃれな機種を供給する低価格おしゃれ戦略」は、現在シャオミなどがうまくやっている戦略ですが、今後のスマートフォン市場を考える上で一番うまくできそうな戦略です。というのも、パーツの値段は一定速度で下がり続けるので、あとはそれをうまく利用して低価格を維持しつつ、ブランド力を保てば一定の利益を確保できる。ポイントは、企業としてのサイズを大きくしないこと。サムソンがきついのは、Galaxyのこれまでの伸びを盛り込んだ企業体になってしまっているので、コスト構造などが他の新興メーカーと比較するとどうしても高コストになっていること。これはで、2年間の契約で無料にできる先進国では戦えても、価格重視のインドや中国では戦えないです。
「他のブランドよりも明らかにかっこいい高価格だが、利益率の高い機種を提供するハイブランド戦略」は、こういう時の王道戦略なのですが、スマートフォンでこの戦略がきついのは、多くのメーカーはファブレスになっているので、SoCの発注はどうしても部材需要の大きいメーカーが有利なのです。なので、Appleのようなエコシステム・プラットフォーム含めて全てが囲い込まれているなどの強力な差別化要因がないかぎり、上の低価格おしゃれ戦略には負けます。ただし、先進国の買い替え需要に特化すれば、そこそこの市場サイズはあるので、最終的にはある程度利益率をキープして生き残ることも数社程度であれば可能かもしれません。
そして、最後は「スマートフォンの次を定義する戦略」。まぁ、これはイノベーションの王道なわけですが、どうでしょうね。僕はスマートフォンの次はなかなかでないのではないかと思っています。というのも、スマートフォンの板状のデバイスに通信デバイスを搭載してコミュニケーション・情報閲覧を行う、っていうコンセプトって、次の一歩が生体とか認識系でかなりの発展がない限りは難しいとおもうのですよね。もちろん長い目でみたらなにかしらの地殻変動は起きるとおもいますが、すくなくとも数年単位でみたら、まだスマートフォンというコンセプトはメインストームなのではないかと考えます。
というわけで、変化するスマートフォン市場に残された3つの戦略について考えてみました。まぁ、上の流れに収束するのはほぼ確定ではないかと思うものの、個人的には「スマートフォンの次を定義する戦略」で驚くようなコンセプトがでてくることに期待したいですね。