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テクノロジービッグプレイヤーの2014/10-12月期の決算をチェック: 好調なFacebookと伸びが止まったGoogle、そして無双を続けるApple

各社の2014年10-12月決算が出ましたね。結構興味深かったのでまとめてみたいと思います。

超好調なFacebookのユーザー数の伸びの秘密

まずはFacebookですが、はっきり言ってしまうと超好調ですね。

Facebookのユーザーは13億9300万人となり、対前年比で3.18%増加した。これは第3四半期の2.2%より高いが、第2四半期の3.125%よりは低い。一株あたり利益は0.54ドル、売上は38.5億ドルだった。広告売上のうちモバイルが69%を占めた。これは前年同期の66%より高く、Facebookのビジネスがモバイルに確固とした足場を築いたことを確認させる数字だ。

この中で注目すべきはもちろん「ユーザーは13億9300万人」という驚異的な数字でしょう。この数字の背景は明確で、途上国からの安価なアンドロイド端末からのユーザーです。この途上国からの安価なアンドロイド端末ユーザー数は現在およそ5億人と言われている、そのあまりのボリュームにFacebook社内では低価格Androidを日常で使って、どのように改善すべきかを検討する活動も行われているという話。

これめっちゃおもしろくて、途上国の2G環境向けのアプリ「Facebook Lite」は必要アプリが256KB、画面も以下のような感じです。

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Facebookの途上国への取り組みは、Instagram/Whatsappの好調と併せて、難しいソーシャルメディアの舵取りにおいて、その未来に対する先行投資として最高のリスクマネジメントといえるでしょう。

完全に伸びが止まったGoogleだけど投資は止めません

Googleの決算は以下の様なものでした。

Googleは今日(米国時間1/29)の取引時間終了後に第3四半期の決算を報告し、総売上181億ドル、トラフィック獲得コストを除いた(ex-TAC)売上145億ドル、非GAAP 1株当たり利益(EPS)6.88ドル、GAAP EPS 6.91ドルだった。

注目すべきは「今四半期で注目されていた数値の一つが売上成長率で、これは前四半期に過去5年間で初めて対前年比成長率20%を割った」という部分。GoogleのようなIT企業にとって、対前年比成長率は重要な意味をもちます。これが鈍化するのは、成熟期に入った証拠となり、高い株価を維持することが難しくなる。高い株価が維持できないと一番困るのは、人材確保。というのも、ストックオプションは基本株価が上がることを前提とした制度なので、それによる旨味が使えなくなる。

といっても上の記事で述べられている人材流出はIT技術者というよりGoogle Xで働くいわば起業家集団と考えたほうがよいでしょう。AIや自動運転車の開発、Google Glassなどの関係者から人材が流出しているのは、Googleにいるよりも他の企業で働いたほうが「伸びがある」と判断しているため。このあたりのスーパー人材を抑えるには株価が意味をもちます。というわけで、決して悪い決算ではなく、むしろ素晴らしい数値なのですが、肝心の対前年比成長率が顕著に現れはじめたGoogleは今が正念場といえるでしょう。といっても、普通に企業続けるならなんの問題もない数字なので、そろそろ落ち着くか、もう一つ伸びがあるかという贅沢な悩みともいえます。

超利益企業Apple

Appleの決算は簡単にいうとiPhone強い、ということにつきます。

数字で注目したいのは、以下の部分。

製品出荷台数は、iPhoneが7447万台で前年同期比46%増加。タブレット端末「iPad」は同18%減の2142万台にとどまった。「Mac」パソコンは同14%増の552万台だった。携帯型メディアプレーヤー「iPod」については個別のデータを出していない。  iPhoneの売上高は511億8200万ドルにのぼり、前年同期を57%上回った。Appleはモデル別の売上を明らかにしていないが、平均販売価格が687ドルと前年同期より50ドル上昇していることから、5.5インチ型の新モデル「iPhone 6 Plus」の販売が好調であることがうかがえると英Financial Timesは指摘している。

iPhone 6 Plusで販売単価を上げて、さらにそれを7447万台売った。前年同期比の46%増加はGoogleの伸びも目じゃない。代わりにiPadの削減は深刻だが、単純にiPhone 6 Plusが市場をとったと考えればよい。これはむしろAppleの狙いどおりというのは、過去のエントリーでも説明しました。

そんなわけでスーパー決算を達成したApple。Apple Watchに関しても、実は採算ラインはかなり低いのではないかと個人的には予想しており、例えばiPhoneユーザーの50人に一人に買わせることができれば勝ちとなれば、Apple Watchの見方もかわってきます。そういうわけで、まだまだ楽しみです。