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Googleの自動運転の参入先としてのUber

以下の記事を読んで、あーなるほど、と納得した。

過去にUberのCEO、Travis Kalanickは「いずれ人間のドライバーをロボットに置き換えたい」と述べている。研究所をピッツバーグに建設するのは、カーネギーに・メロン大の近くであると同時に、シリコンバレーから遠く離れ、秘密保持上も好都合だという理由だろう。

Googleの自動運転技術について、この先どうするつもりなのかを以下のエントリーで推測していたが、恥ずかしながらUber的な方向性について気づいてなかった。

つまり、このプロトタイプには、人間が運転する機構が取り付けられるということだ。「安全のためだし何を当たり前のことを」と思うヒトが多いと思うが、今後の自動運転の最大のトピックはここに集約されると思っている。つまり、事故を起こした時に誰が法律的に責任を取るか、ということだ。車を運転する以上、自動制御とは言え慣性の法則があるので、急停止にはそれなりの距離が必要となる。つまり、死角からの飛び出しなど不測の自体があったら事故は必ず発生する。このとき例えば死亡事故が発生した場合に、当たり前の話だがAIは責任を取れないで「運転席に座っている運転手」が事故の責任を撮る必要がある。

この当たり前のルールに従って考えると、自動運転というのは最終的にはあくまで補助機能に過ぎず、それ以上の発展は現状の交通法の仕組みそれ自体が対応できないことになる。とはいえ、通常系ではハンドルに手を置き、ブレーキを踏めるようにしておけばあとは自動運転できるのでしょ、という意見もあり、それには同意するが、その前提には法律的に責任が取れる、運転免許証があり、体調が万全で判断能力がある運転手が運転席に座っていることが前提となっており、そのような人がいるなら、そもそも運転するのと変わらない。

通常の運転で自動運転が大活躍するのはなかなか難しいが、オンデマンド自動運転タクシーであれば、かなり容易に想像がつく。そのシナリオは以下の様な感じだ。

  1. スマートフォンのアプリからユーザーが現在地と行き先を指定する

  2. 自動運転タクシーが到着する。基本的に運転手とのやりとりも必要がなく目的地に自動運転タクシーは出発する

  3. 運転手は急に発生する事故に対する危機回避のみに専念すればよい。行き先は最初からわかっているし、渋滞を避ける道の選択や最適な速度などは全て自動運転タクシーがやってくれる

  4. 目的地についたらユーザーは自動運転タクシーから降りる。必要な金額が表示され、それを了承したら後日クレジットカードで請求される

うーん、これはスマートだ。これを行うと、これまで運転手として成立するために必要だったタクシーの運転技術や適切な道を選択する能力、また運転中にそれを並行して行う能力も全て不要になる。この取組はUberに参加可能な車を増やすし、結果的に人的輸送が最適化されて利便性は上がり、値段は下がることに繋がるだろう。しかも、上記のシナリオは基本的な機能があるだけで実現できることで、さらにいろいろな発展が想像がつく。

自動運転は車を所有することから、共有し、それを利用することに特化させていく。そもそも車のような保険も高く、場所もとるものを所有すること自体に無理があると気づいてカーシェアを選択している人が増えていくが、そのあとの方向性としてこの流れは極めて自然に思える。あとはUber的なものの社会的なボリュームがどれくらいになるかだが、これに関しては長期トレンドでみたら結構いけると思っているのかな。